授業案とワークシートを配布
2022年度から高校の家庭科で資産形成を扱うようになり、金融教育の授業を任される先生が増えています。
一方で「教科書の説明だけでは生徒の実感がわかない」「準備に時間をかけられない」という声もよく聞きます。
このページでは、生徒が仮想のお金で株の売買を体験し、その結果を振り返る50分×2コマの授業案と、授業でそのまま使えるワークシートを無料で配布しています。
印刷してすぐに使え、各学校に合わせたコピー・改変も自由です。
授業案(教師用・2ページ)、生徒用ワークシート(売買の記録・振り返り・自己評価/2ページ)、探究学習シート(問い→仮説→検証→考察/2ページ)の3点です。いずれもA4・白黒印刷で使えます。
使う教材
- ●無料の株シミュレーションゲーム「もしも証券」のスクールモード(タイムマシン授業)
- ●生徒はブラウザで参加でき、アプリのインストールやメール登録は不要
- ●登場する企業とニュースはすべて架空で、実際のお金は使わない
学習指導要領との関連
この授業は、次の科目・単元の中で扱うことを想定しています。
株式の売買そのものを教えるのではなく、「株価はなぜ動くのか」「リスクとリターンをどう考えるか」を体験から理解することがねらいです。
| 家庭基礎・家庭総合 | 「持続可能な消費生活・環境」の「生活における経済の計画」。株式・債券・投資信託など基本的な金融商品の特徴(メリット・デメリット)と、資産形成の視点 |
|---|---|
| 公共 | 経済に関わる事項のうち「金融の働き」(金融のしくみと、金融が経済の中で果たす役割) |
| 政治・経済 | 「金融を通した経済活動の活性化」に関わる考察 |
| 総合的な探究の時間 | 課題の設定 → 情報の収集 → 整理・分析 → まとめ・表現の探究のプロセス |
| 中学 社会(公民的分野) | 「私たちと経済」の株式会社のしくみ、金融などのしくみや働き |
家庭科では金融商品の特徴を概観し、しくみの詳細は公民科で学ぶ、という分担で年間計画を組んでいる学校も多いはずです。
この授業案は家庭科でも公民科でも使えるよう、どちらかに寄せすぎない構成にしています。
正確な文言は、文部科学省の学習指導要領と解説でご確認ください。
50分×2コマの授業の流れ
使うのはスクールモードの「タイムマシン授業」です。
先生が過去の相場を1日ずつ進めると、クラス全員の画面に同じ時点の株価とニュースが表示されます。
休み時間に株価が動いてしまう心配がなく、「この場面を全員で見たい」を再現できます。
1コマ目:売買を体験する
| 導入(10分) | 「株を買う」とはどういうことか、株価はなぜ動くのかを考え、ワークシートに予想を書く |
|---|---|
| 参加(5分) | プロジェクターに映したQRコードを読み取り、名前を入れてルームに参加 |
| 体験(25分) | 先生が市場を1日ずつ進め、生徒はニュースと株価を見て売買する。売買のたびに理由を入力し、ワークシートにも記録 |
| まとめ(10分) | いま持っている株とその理由、この先に起きそうなことを書く |
2コマ目:振り返り、資産形成につなげる
| 再開(5分) | 前回の保有株と理由をワークシートで確認 |
|---|---|
| 体験(15分) | 残りの期間を進めながら売買し、最後に先生が授業を終了する |
| 振り返り(20分) | 振り返り画面(大きく動いた銘柄と背景のニュース、最終ランキング、自分の売買と理由)を見て班で話し合う |
| 一般化(10分) | 分散投資や長期の視点、株式・債券・投資信託の違い、NISAなどの制度に結びつけ、振り返りシートを書く |

1コマで終えたい場合
体験を20分にして、すぐに授業を終了し、振り返りに15分使います。
数週間の課題にしたい場合
「クラス」機能を使うと、全プレイヤー共通のリアルタイム市場のまま、クラスのメンバーだけの順位を比べられます。
宿題や長期休みの課題に向いています。
探究学習での使い方
総合的な探究の時間では、売買の勝ち負けではなく「問いを立てて、データで確かめる」ことに使えます。
株価・ニュース・企業の指標・ランキング・売買の記録がすべて画面で見られるので、生徒が自分で検証の材料を集められます。
問いの例
- ●よいニュースが出た会社の株は、その後も上がり続けるのか? ニュースどおりに動かないのはどんなとき?
- ●1社に集中して買う人と、いろいろな会社に分けて買う人では、どちらの成績が安定するか?
- ●PER(株価収益率)が低い「割安」な会社の株は、値上がりしやすいのか?
- ●原油高や円安など「業界全体」のニュースは、どの業種の株にどう効くのか?
- ●「〇%下がったら売る」とルールを決めた人と決めない人で、結果は変わるか?
もしも証券の市場では、現実と同じように、よいニュースが出ても株価が下がることがあります。
「ニュースどおりにならなかったのはなぜか」は、それだけで探究のテーマになります。
進め方
- 1課題の設定:問いの例を参考に、班や個人で問いを決め、仮説を立てる
- 2情報の収集:「クラス」で数週間売買しながら、ニュース・株価・指標を記録する
- 3整理・分析:記録や、先生がCSVで出した売買履歴を見比べ、仮説が当たっていたかを確かめる
- 4まとめ・表現:結果と考察、現実の株式市場との違いを発表する
探究学習シート(PDF)は、この流れに沿って①問い〜⑨発表のメモまで書き込める2ページの構成です。
振り返りの問いと評価
体験だけで終わらせず、振り返りまで行うことで学びが定着します。
生徒用ワークシートには、次の問いを入れています。
- ●理由どおりの結果になった売買と、ならなかった売買を1つずつ選ぼう。結果が分かれたのはなぜ?
- ●期間中に大きく動いた銘柄は? どのニュースの後に動いた?
- ●班の人や上位の人の売買の理由を聞いて、自分と違うと思ったことは?
- ●もう一度同じ期間をやるなら、どこで何をする?
- ●実際に将来、資産形成をするとき、大切だと思ったことは?
評価の観点(例)
| 知識・技能 | 株価が業績・ニュース・需要と供給で動くこと、金融商品にはリスクとリターンがあることを説明できるか(ワークシートQ1・Q8) |
|---|---|
| 思考・判断・表現 | 情報をもとに理由をつけて売買し、結果と照らし合わせて考察できているか(売買理由のCSV・ワークシートQ4〜Q7) |
| 主体的に学習に取り組む態度 | 自分の判断を見直し、将来の資産形成に生かそうとしているか(振り返り・自己評価) |
順位や利益率は運にも左右されるため、評価には使わないことをおすすめします。
売買の理由は、教師用画面から全員分をCSVでダウンロードできます。
教材の市場をのぞいてみる
授業で使うのは、全プレイヤーが共有している架空の株式市場の値動きとニュースです。
日本と米国あわせて200社以上の架空企業が上場していて、ニュースに反応して株価が動きます。
下のボードは、いまの市場の実際の株価です。
いまの共有マーケットの株価。銘柄を押すと、チャートやニュースをログインなしで見られます。
ログインなしでのぞく先生が相場を進める「タイムマシン授業」と、リアルタイム市場でクラス内の順位を比べる「クラス」の2通りで使えます。生徒はコードかQRコードで参加でき、売買理由の記録・振り返り・CSV出力にも対応しています。
授業前の準備とよくある質問
- 1moshimosec.com/school を開き、「タイムマシンで授業をする」からルームを作る(先生はログインが必要。無料)
- 2ルーム名・初期資金・対象銘柄を決める。対象銘柄は10〜20社に絞ると、生徒が選びやすく読み込みも速い
- 3「売買のたびに理由の入力を必須にする」をオンにする
- 4ワークシートを印刷し、一度先生自身が生徒側の画面で売買を試しておく
かかりません。授業案・ワークシートのPDFも、スクールモードを含むもしも証券の機能もすべて無料です。学校単位の申し込みも不要です。
ブラウザが使えるタブレット・PC・スマホがあれば参加できます。アプリのインストールやメールアドレスの登録は不要で、QRコードを読み取るか6桁のコードを入力して、名前を入れるだけです。
できます。タイムマシン授業の時間は、先生が進めない限り止まったままです。ただし生徒はゲスト参加のため、前回と同じ端末・ブラウザで開く必要があります。端末が毎回変わる場合は、画面の案内からGoogleまたはAppleのアカウントを連携しておくと続きから参加できます。
はい、授業での利用・コピー・改変は自由です。学校名やクラスに合わせて問いを変えたり、一部だけを使ったりしてかまいません。
登場する企業とニュースはすべて架空で、実際のお金は使いません。授業案では、振り返りで分散投資や長期の視点、リスクとリターンの関係に結びつけ、「短い期間の値動きを当てるのは難しい」ことを体験から理解できるようにしています。




