ナンピンとは:値下がりした株を買い増して、平均の買値を下げること
ナンピンとは、保有している株が買値より値下がりしたときに、同じ銘柄を買い増して平均取得単価(1株あたりの平均の買値)を下げる手法です。
漢字では「難平」と書き、「難(損失)を平らにする」という意味から来ています。
一般的に「ナンピン買い」とも呼ばれます。
平均取得単価が下がると、株価が少し戻っただけで損失が解消しやすくなります。
その一方で、株価がさらに下がると、買い増した分だけ損失も大きくなるという、両刃の剣のような手法です。
ナンピンの計算例
具体的な数字で見てみましょう。
1株1,000円で100株買った株が、800円に値下がりした場面を考えます。
| 最初の購入 | 1,000円 × 100株 = 10万円 |
|---|---|
| 800円でナンピン | 800円 × 100株 = 8万円 |
| 合計 | 200株を18万円で購入 |
| 平均取得単価 | 18万円 ÷ 200株 = 900円 |
平均取得単価の計算式
(保有株数 × 今の平均取得単価 + 買い増す株数 × 買い増す価格)÷ 合計の株数。
証券会社によっては手数料を含めて計算する場合もあります。
株価が戻った場合:ナンピンが効く
ナンピンしなければ、損失をなくすには800円から1,000円まで、25%の値上がりが必要です。
ナンピンで平均取得単価が900円になっていれば、800円から900円まで、12.5%戻るだけで損益はゼロになります。
株価がさらに下がった場合:損失が膨らむ
反対に、株価が600円まで下がったとします。
ナンピンしなかった場合の損失は(1,000円−600円)×100株=4万円ですが、ナンピンした場合は(900円−600円)×200株=6万円と、損失が1.5倍に増えてしまいます。
| 株価が900円に戻った | ナンピンなし:−1万円 / ナンピンあり:±0円 |
|---|---|
| 株価が600円に下がった | ナンピンなし:−4万円 / ナンピンあり:−6万円 |
ナンピンのメリットとデメリット
メリット
- ●平均取得単価が下がり、少しの値上がりで損失を解消しやすくなる
- ●株価が戻ったときの利益が、買い増した分だけ大きくなる
- ●割安になったと判断した銘柄を、より安い価格で買い増せる
デメリット
- ●株価がさらに下がると、買い増した分だけ損失が大きくなる
- ●1つの銘柄に資金が集中し、分散が効かなくなる
- ●買い増しに資金を使うため、ほかのチャンスに回すお金がなくなる
- ●「損を認めたくない」という気持ちから、損切りの先送りになりやすい
「下手なナンピン素寒貧」と言われる失敗パターン
相場の世界には「下手なナンピン素寒貧(すかんぴん)」という格言があります。
考えなしにナンピンを繰り返すと、最後には資金をすべて失ってしまう、という戒めです。
よくある失敗パターンは次のようなものです。
- ●下がった理由を調べずに、「安くなったから」という理由だけで買い増す
- ●業績悪化など、買った理由そのものが崩れているのに買い増す
- ●上限を決めずに、下がるたびに何度も買い増す
- ●損切りの代わりにナンピンで「なかったこと」にしようとする
特に危ないのが、損切りすべき場面でナンピンを選んでしまうことです。
損失を確定させたくない気持ちが、「平均単価を下げれば大丈夫」という判断にすり替わっていないか注意が必要です。
ナンピンと「計画的な分割買い」の違い
値下がりした株を買い増すという行動は同じでも、事前に計画していたかどうかで意味は大きく変わります。
| 無計画なナンピン | 値下がりしてから慌てて買い増す。損失を取り戻すことが目的になりがち |
|---|---|
| 計画的な分割買い | 最初から「3回に分けて買う」など予算と価格の目安を決めておき、その通りに買う |
ナンピンを使うなら、最初に買う時点で「どこまで下がったら、いくら買い増すか」「どこまで下がったら損切りするか」を両方決めておくことが大切です。
買い増しに使う資金も、最初から予算に含めておきましょう。
ナンピン売りとは
ナンピンには「ナンピン売り」もあります。
これは、信用取引で空売りした株が値上がりしたときに、さらに売り増して平均の売値を引き上げる手法です。
株価の上昇には上限がないため、ナンピン売りは損失が際限なく膨らむおそれがあり、初心者にはおすすめできません。
ナンピンの効果と怖さを、仮想資金で確かめる
ナンピンは、計算で理解するのと実際にやってみるのとでは大違いです。
値下がりした株を前にして「買い増すか、損切りするか」を決める難しさは、体験してみないとわかりません。

「もしも証券」は、仮想資金100万円で日米200社以上の架空企業の株を売買できる無料の株取引シミュレーションゲームです。
保有中の銘柄を買い増すと平均取得単価が自動で計算し直され、ポートフォリオ画面の「保有」タブでいつでも確認できます。
試してみたいこと
- ●値下がりした銘柄を買い増して、平均取得単価がどう変わるか見る
- ●買い増し後にさらに下がったとき、含み損がどれだけ増えるか確かめる
- ●最初に「買い増すライン」と「損切りライン」を決め、守れるか試す
使うのは架空のお金なので、ナンピンで失敗しても実際の資産は減りません。
ゲームデータをリセットすれば、初期資金からやり直すこともできます。
よくある質問
ナンピンはやってはいけないのですか?
一概にダメではありません。業績など買った理由が変わっておらず、事前に買い増しの予算と損切りラインを決めているなら、ひとつの手法として成り立ちます。避けたいのは、損失を取り戻したい気持ちだけで無計画に買い増すことです。
ナンピンすると平均取得単価はいくらになりますか?
(保有株数×今の平均取得単価+買い増す株数×買い増す価格)÷合計の株数で計算できます。たとえば1,000円で100株、800円で100株買った場合は、18万円÷200株=900円です。
ナンピンは何回までにすべきですか?
決まった回数はありませんが、最初に買う時点で「最大何回・いくらまで買い増すか」を決めておくことが大切です。上限を決めずに下がるたびに買い増すと、1つの銘柄に資金が集中して大きな損失につながりやすくなります。



